水葬銀貨のイストリア 感想
水葬銀貨のイストリア(ウグイスカグラ)の感想です。
公式サイト:水葬銀貨のイストリア
発売日:2017年3月24日
①評価:S
暗い雰囲気、重い内容でも平気な方には是非ともおすすめできる作品です。
以下、多量のネタバレを含みます。
②自分の攻略順・おすすめの攻略順
自分は、玖々里→夕桜→小夜→ゆるぎ、という順番で攻略しました。
おすすめの攻略順はありません。
個別ルートは短い上に完全に蛇足だと感じたので、興味ないキャラはスキップしてTRUEルートに進んでも良いと思います。
③共通ルート・個別ルートの感想
・共通ルート
暗く重い内容であるのに、とても惹きこまれる良い共通ルートだったと思います。
C・Aと対峙しているシーンは主人公視点だと思っていたのが、ゆるぎ視点だったことが分かったときには素直に感嘆しましたし、灯さんに裏切られたときにはある程度予想ついてはいたもののかなりショックでした。
絶望的な状況にさらに絶望をぶつけられるような展開で読んでいて辛くもありましたが、それでも面白かったです。
・個別ルート
普段は各個別ルート毎に分けて感想を書いていますが、今回はまとめて書きます。
②でも書いた通り、自分は個別ルートが完全に蛇足だと思います。
エロゲとしての体裁を整えるために用意したようにしか感じませんでした。
攻略ヒロインの1人を犠牲にして進む日常はかなり虚しかったです。
TRUEルートまで終えてからであれば、この虚しさもTRUEルートへの前準備だと考えて納得出来るのですが、プレイ中は共通ルートまで面白かったこともあって悪くしか感じられませんでした。
短い上に終わり方もぶつ切りで、もう少し何とか綺麗に仕上げて欲しかったです。
一つだけ良かった点を挙げるとすれば、TRUEルートで出番がない祈吏の出番が多かったのは良かったと思います。
・TRUEルート
共通ルートでひたすら絶望をぶつけられ続けた後、ハッピーエンドへと向かっていくTRUEルートは非常に面白かったです。
まず初めに夕桜と小夜との勝負で過去の問題に決着をつけ、次に紫子と征士という今ある問題にケリをつけ、最後に全ての元凶である紅葉と決着をつけるという構成はとても上手く出来ていました。
その中で登場人物、特に小夜の成長が感じられて良かったです。
ずっと蚊帳の外で守られ続けていた小夜が強くなったのはとても感動的でした。
登場人物皆で協力して助け合っているのも非常に感動しましたし、全員に見せ場があって良かったです。
終わり方も紅葉を殺して解決するのではなく、良い終わり方であったと思います。
とても良い作品でした。
④その他
不満ではないのですが、ヒロイン内でヒロインとしての要素がかなり偏っている気がしました。
夕桜が設定を背負いすぎてストーリー上の重要度が、夕桜>>>小夜>>>玖々里>ゆるぎ、というように感じました。
初めは玖々里は重要なキャラに見えていたのですが、人魚姫や同じような境遇のキャラが思っていたより多くてアイデンティティを奪われてしまっていたように思います。
さらに、ヒロインでない灯さんの立ち位置や他の登場人物の関わり方が強すぎて、ヒロインを食ってしまっていたように思いました。
まあどのキャラにも見せ場があり好きになれたので悪いわけではないのですが、設定的な魅力としては灯さんと夕桜が群を抜いているように感じました
ここからは不満ですが、誤字脱字、文字とボイスの不一致が数えきれない程ありました。ここまで多いのは初めてです。
間違いが多いだけでも良くないのですが、小夜の母親の名前が英士の母親の名前になっていたり、玖々里を犠牲にしたのに夕桜が犠牲になったような文になっていたりと大事なシーンでも間違いがあり、流石に見過ごせないレベルでした。
システム面もあまり良いとは言えません。バックログからジャンプくらいはさせてほしいです。
体験版をプレイした時点からかなり高い期待をしていた作品でした。
個別ルートと誤字に関してはかなり悪く見ていますが、それを差し引いてもとても良い作品であったので、評価はSとさせていただきます。
以上です。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。